はじめに
フリマを始めた頃、はてなブログに「フリマサイト発送準備が一番緊張する。」という記事を書きました。ヤフオクで売れた3商品の発送を終えた、翌日のことです。
売ることより、買うことより、送る準備がいちばん神経を使う。そんな内容でした。昨日公開したメルカリ体験談(記事32)が取引の思い出なら、この記事はその続きにあたる、発送のふり返りです。
247商品、トラブルは0
当時の私は、こう書いています。
「ちなみに今まで247商品の出品販売してきましたが、配送上のトラブルは0です。」
理由は、300円の商品でも追跡つきの発送方法を選んできたこと。そして、匿名取引で数量不足や誤配送があれば大変なので、中身を何度もチェックしていたことでした。
この習慣が、その後の取引の土台になりました。取引は通算で1,000件を超えています。
普段はズボラなのに、ここだけは
もうひとつ、正直な一文が残っています。
「普段の私は、子供の学校行事や、学校からのお便り返信も忘れてしまうほどにズボラ人間なのですが、フリマサイトにおいては、特に出品時に、細心の注意を払っています。購入者の顔が見えないから特に、失礼がないように気を配ります。」
普段は忘れっぽいのに、フリマのときだけは別人のように丁寧になる。その落差が、いかにも私らしいと思います。
SNSやブログのいいね、コメントのやりとりでさえドキドキしていた私にとって、お金が絡む取引は背筋がのびる体験でした。発送前の緊張は、その感覚そのものだったのかもしれません。
箱の失敗談
当時の記事でいちばん恥ずかしかったのが、箱の失敗談です。
初心者の頃、メルカリで家電を売ろうとして、ちょうどいい大きさの箱が見つかりませんでした。そこで使ったのが、同時期に自分がメルカリで買った家電の空き箱。商品画像がそのまま印刷されていました。
メルカリでは、取引した商品の画像がしばらくアカウントに残ります。評価履歴をたどれば、買い手には「購入品の空き箱を使い回したのだな」と一目瞭然です。気づいたときには「しまったなあ」と思いました。軽くあしらわれたと感じる人もいるでしょう。
しばらくはプロフィールに「梱包資材はなるべくリサイクルします」と書いていました。けれど、他の人の評価履歴を見ると、梱包に文句をつける人が意外に多いと知りました。それ以来、箱は新品を使っています。プチプチだけはリサイクルしています。
薄い利益と、評価の重さ
素人の出品物は、配送料で価格の半分以上が消えるくらいでないと売れません。家電にはほとんど保証もつきません。
そんなギリギリで取引しているので、誤配送が起きるとトラブル対応の出費で赤字になりかねません。だから何度もチェックしてしまうのです。当時は、こんな本音も書いていました。
「フリマサイトは素人ユーザーが多いし、ほぼ捨て値で販売している人も多いから、梱包資材にまで投資は出来ない実情があります。それを理解して購入している方も多いですから、お互いさまな面もあります。でも販売を経験せずに購入専用でフリマサイトを利用している方で、たまに『相手の立場に立って考えることの出来ない評価屋さん。』がいるんですよね…。」
業者並みのサービスを求められると、素人の売り手にはつらいものがあります。それでも顔の見えない相手に失礼のないよう気を配っていたのは、そういう事情もあったからだと思います。
2026年の今、ふり返って
当時の記事は、こう結ばれていました。
「今まで誤配送や商品の欠損といったトラブルは経験しておりませんが、もしミスしたらどうしよう…という心配は、発送時にいつも感じております。だから何回も何回もチェックしてしまいます。」
今の私の取引は、すっかり事務的です。買うのもたまにYahooフリマくらいで、商品が届いても、その日のうちに評価をつけ忘れることがあります。初心者の頃の自分には、ありえないことでした。
それでも、発送前の緊張の根っこは、あの記事にありました。普段はズボラな私が、見えない相手のためにだけは丁寧になる。その気持ちは、取引が増えても変わらなかったのだと思います。
売る意欲がわかなくなった理由
実は最近、売る意欲がわきません。理由のひとつは、相手の対応です。
当時の私は、評価についてこう書いていました。
「悪い評価つけられると、そのアカウント見るたびに思い出してストレスになる。楽しみのためにフリマやってる意味がない」
評価に執着していたのには、理由があります。
専業主婦にとって、ママ友や学校の先生は、ほぼ唯一の社会的接点です。子供が小さい頃は、ママ友付き合いがうまくいかないだけで、落第点をつけられたような気持ちになりました。もともと人付き合いが苦手だった私は、10年以上、家庭と子供を通じた付き合いしかしてきませんでした。その反動のように、フリマの評価にのめり込んだのだと思います。リアルに評価される場所があれば、これほどフリマに入れ込むこともなかったでしょう。
夫には後ろめたさがありました。ブランド品や高級品に使ったわけではなく、生活を豊かにする日用品を買っているのだと、頭の中で言い訳していたこともあります。
300円の商品なら、送料と手数料を引いて残る利益は数十円です。それでも、威圧的な対応をする人に何度か当たると、気持ちが折れます。今でいうカスハラです。
フリマは、素人がプロと同じ土俵に立てる場所でした。資格も免許もいらないから、誰でも始められて楽しい。けれど、その土俵には盾がありません。猫も杓子もスマホを持つ時代になり、プロとアマチュアの境目もあいまいになりました。
私自身も、売り手として失敗をたくさん重ねました。箱の失敗談もそのひとつです。その分野の経験がないと、気をつけるべき点は分かりません。慣れて目が肥えても、アパレルの人に農産物は売れませんし、その逆も同じです。カテゴリが変われば、素人はまた素人に戻ります。
買う側でも、届いた商品にがっかりすることはありました。それでも文句を言ったことはほとんどなく、いつも通り良い評価をつけて、静かに手放してきました。
誤解のないように書いておくと、ほとんどの取引は、良心的な価格で譲ってくれる人や、喜んでくれる購入者ばかりでした。ただ、ごくたまに嫌な思いをします。次の相手が誰か分からない、くじ引きのような感覚が、いつの間にかストレスになっていきました。
発送前の緊張は、相手を思う気持ちから来ていました。その気持ちが報われない経験が重なると、続けるのは難しくなります。今は、たまに買うくらいが、ちょうどいい距離なのだと思います。
新しい居場所
最近は、地域のボランティアに自分の居場所をつくりました。報酬は半日500円です。社会との接点があり、感謝され、多少失敗しても「ボランティアだから」と許してもらえる。キャリアを積んだ人が得る評価や報酬と比べれば小さなものかもしれませんが、ポイ活のような感覚で、ちょっと得した気分になれるのがちょうどいいのです。
リアルな社会に居場所ができてから、フリマの評価に固執することもなくなりました。
はてなには、フリマのネタがまだたくさん残っています。余裕のあるときに、ひとつずつ記事にしていくつもりです。


